――製作の経緯を教えて下さい。
3分ゲーコンテストの参加層に読ませるために作りました。
――3分ゲーコンテストというのは?
3分程度のミニゲームを対象にした、個人運営のゲームコンテストでした。
主催者が「RPGツクール」というゲーム製作ツールのニュースサイトをやっていたこともあり、参加者はRPGツクールでゲームを作る者が多かった。彼らは「ツクラー」と自称していた。
――ツクラーを読者として想定していたのですか?
ツクラーに限らず、アマチュアゲームを自ら作る、またはそのようなゲームを好んでプレイする者たちです。
中でも、3分ゲーコンテストにコメントを寄せる者の中には、どうも考えが偏っている者がいると感じた。特にそのような相手に読ませたいと思いました。
――考えが偏っているというのは。
読むことを主体とした作品に対し、「ゲームでないからダメだ」という意見が少なからずあったことです。私の気に入った作品がそうやって袋叩きにあっているのを見ると、ふつふつと怒りが湧いてきた。
――つまり、きっかけは私怨だった?
そうです。
――だから作品で説教した?
それは少し違う。個人的な恨みが製作の動機であっても、その過程で一つの作品に昇華させたつもりです。完成した作品が、イコール私の意見ではない。そこはフィクションを鑑賞する者のリテラシーとして、別けて考えてもらいたい。
――そういうものでしょうか。
物語の中で人を殺すのは悪いことですか? 作者は咎められるべき? そんなことはない。
「人殺し」を「意見表明」に置き換えればわかるでしょう。作中に出てきた意見は、要するに虚構の一部でしかない。
――意見を伝えるためでなければ、なぜそのような層に読ませたいと考えたのでしょうか。
他の層に読ませても、そもそも意味がわからんでしょう。怒りに突き動かされて作ったものの、見せる相手は限られていたというだけのことです。
――作中の仕掛けの意味がわからないという声がありましたが。
説明の必要はない。